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ECビヒクル

ECビヒクルとエチルセルロース

エトセル*(エチルセルロース)は、導電材料・誘電材料・絶縁材料等の焼成ペーストにバインダーとして広く採用されています。エトセルが採用される主な理由は以下のとおりです。

  • 主にスクリーン印刷用途に使用されます。
  • 溶剤(ターピネオール・BCA等の高沸点溶剤)への溶解性が優れています。
  • 適度な焼成パターンが得られます。
  • 各種材料の分散性が良い。
  • 燃焼分解特性に優れています。

このような優れた特徴を有するエトセル*(エチルセルロース)ですが、昨今の厳しい品質向上の要求に対して様々な工夫を行う必要があります。一例として、MLCC用途においてNiペーストの膜厚は1μm以下を要求され、またPDP用途においては、異物数ゼロを求められています。

 

このような要求に対して、通常のエトセル*(エチルセルロース)では対応できない面があります。例えば、エトセル*(エチルセルロース)の中に含まれる未溶解セルロースや黒色炭化物がペースト中に含まれるとボイド等の発生要因になり、結果として導電性材料の場合、導電不良が、絶縁材料の場合、絶縁不良が発生します。

 

また、使用される溶剤もペーストの特徴に大きな影響を与えます。特にターピネオールを使用する場合において、原料の松の生産地(中国・南米)や精製条件により、α-ターピネオール、β―ターピネオール、γ―ターピネオールの含有量が異なり、結果的にエトセルに対する溶解性が変動し、粘性やゲル状物質の発生に大きな影響を与えます。

ECビヒクル

日新化成㈱は、このような問題を解決する手段としてあらゆる検討を行った結果、エトセル*(エチルセルロース)を特定の溶剤に溶解しECビヒクルの開発・販売を行っています。

  • 粘度の一定化
  • 固形分量の一定化
  • 異物の除去
  • 流動特性の調整が可能

このECビヒクルは、MLCC用途あるいはPDP用途ペーストの生産に優れた効果をもたらします。従来、エトセル*(エチルセルロース)を一定の粘度にすることだけでも煩雑な粘度調整の作業が必要でしたが、ECビヒクルを使用することでそうした作業から解放されます。

一例として、特にPDP用蛍光体ペーストの生産において、エトセル*(エチルセルロース)に含有する成分が発色特性に大きな影響を与えます。私どもはそのような事実を的確に把握し、蛍光体ペーストに適したECビヒクルを提供いたします。

このような観点から、PDPのリブ用・誘電体用ペーストにおいても最適なECビヒクルを提供いたします。また、接着強度の向上や環境対策に配慮したECビヒクルの開発にも取組んでいます。

セルロース系ECビヒクル

グレード 主な用途 特   徴
EC-100FTP 蛍光体 低粘度、高速スクリーン印刷、パターン印刷、塗膜の厚膜化、異物・ゲルの管理
EC-200FTP 蛍光体 高粘度、埋め込み印刷タイプ、塗膜の薄膜化、異物・ゲルの管理
EC-100FTD 誘電体 高レベリング性、異物・ゲルの管理
EC-200FTD MLCC 薄膜スクリーン印刷タイプ、異物・ゲルの管理

一般的に、ビヒクルにブレンドするパウダーの特性や、ペーストを使用するプロセスにより、ビヒクルに要求される流動特性は異なります。日新化成㈱は各種材料、プロセスに合致した流動特性を得られるようビヒクル設計を行っています。

プロセスの観点から

高レベリング・タイプ (例:EC-100FTD系統) 

ロールコーター、ドクターブレード等のコーティングに適し、塗布後の表面平滑性、 基盤との密着性等が優れています。

材料の観点から

微粉末、高比表面積、高吸油量 用 (例:EC-100FTD)

高比表面積、高吸油量を有する粉体や、微粉末等はビヒクルと混合することでチクソトロピックなペーストになります。これ らの粉体でも良好なレベリング特性が得られます。

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